『スリービルボード』という映画を見た。
まずこの映画を知らない人のために簡単なあらすじを紹介します。
『スリービルボード』のあらすじ
主人公は中年の女。彼女がアメリカ南部のさびれた町の人もほとんど通らない道に立つ3つの看板広告を契約することから物語は始まります。
実は彼女は娘を殺されており犯人は見つかっておりません。そのため警察署長を挑発するようなテキストを3つ、看板広告として掲げたのでした。
その挑発的な3つの看板広告(スリービルボード)を発端として、主人公の家族、挑発された警察署長と家族と部下、さらに町中の人々が摩擦を起こし、物語は思わぬ方向に進んで行くのでした…。
視聴前の印象
まずDVDのパッケージに写る主演のフランシス・マクドーマンドが地味です(苦笑)。表情から率先して見てみようとはなかなか思えない顔をしています(失礼)。
また3つの看板広告から物語が発展していくということですが、「まぁそんなに大した広がりも発展もないだろう」と思っていました。だってたった3つの看板のメッセージだけですから(笑)。そんなに大それた展開も期待できないだろうと。
そんなわけで、気にはなっていたのですが「まだいいかぁ、新作高いし…」なんて感じでスルーしていました。
ところが僕の友人が、今までにないくらいこの映画について語りたがっていたのです。僕が「まだ観ていない」というと、真剣に「あぁ、すっごい話したいことある」と、あの言いたいけど言えない歯がゆさがにじみ出た表情をしたのです。
これは見なければ!と思い、すぐにレンタルして観てみました。
観てみたら、案の定、抜群に面白かった!です。
『スリービルボード』の感想
群像劇としては、『マグノリア』や『クラッシュ』のような本来なら接点がないはずだった人々があることが発端でどんどん人生が絡まり合っていくという展開を見せます。
しかも『スリービルボード』はアメリカ南部の架空の田舎町という閉塞した舞台であることを利用して、登場人物の描写を物語が進むにつれてビルドアップさせていくのです。
つまり、同じ人物でも最初に登場したときと映画のラストでは全く違った表情を見せているキャラクターがいるけです。ただし!登場人物全員が変化をみせるわけではなく、一部の人物は何の裏もなくそのままだったりします。だから映画を見ている間はこいつはどう転ぶかわからない!という緊張感がとても心地いいんです。
そもそも主人公の娘の殺人事件の犯人が誰なのかわからない!というサスペンスの要素もあるわけで、そこに閉塞した町の住人たちの本当の素顔が徐々にあらわになっていくわけです。
映画好きこそ騙されます
特に映画に詳しい人ほど騙されます。というのもセリフ、人物の登場順やタイミング、伏線などのすべてが絶妙なバランスで配置されているからです。
映画をこれまで多く見てきた人ほど、深く勘ぐればかんぐるほど、先が読めなくなります(笑)。というのも、映画としての伏線と、ダミーの伏線も張り巡らされているからです。伏線は後で回収されますが、伏線のダミーは僕ら映画ファンを見事に裏切ってくれます。
もちろん今まで見たことがない映画の展開に出会えるというのは、映画好きにとっては最高の体験であるのは言うまでもありません。
ということで、ネタバレはしないので是非見てみてください!
『スリービルボード』に隠された裏設定
と、ここまで書いて、実は僕も記事内に伏線を張っておきました(笑)。
この記事を読んで、『スリービルボード』に興味を持って見てもらえたらそれだけで素晴らしい作品に出会えます。
ただもう一つ楽しんでもらえるための仕掛けを用意しておきました。
この映画には確実に裏の設定が隠されています。この映画は表と裏の顔があり、一度見てもその裏の面を知るともう一度楽しむことができます。
その裏設定についてはまた別の記事で解説いたします。
ただ読む前に、一度見ておいた方が確実に楽しめます!是非、一度見たことがる状態で次の記事を読んでいただけたらと思います。